理事長あいさつ

住み慣れた場所で、自分らしく生きる。めやす箱が実現する共生社会

めやす箱のはじまりは2002年4月。倉敷市西尾に定員5名職員2名の小規模作業所としてスタートしました。当時の倉敷市は養護学校卒業生の受け入れ施設が少なく、自宅での暮らしを希望しながらも、遠方の施設への入所を余儀なくされる状況でした。そこで私たちは年に1か所ずつ作業所を増やし、住み慣れた地域での生活が継続されるよう整備を行って参りました。

2006年の障害者自立支援法施行により、小規模作業所は就労継続支援B型事業となり定員も大幅に拡大。より多くの方々の要望に応えられるようになりました。
また児童のデイサービスも児童発達支援センターとなり、地域の発達支援の福祉拠点としての役割を果たすこととなりました。
現在では、就労支援、生活介護、児童発達支援、放課後等デイサービス、日中一時支援、グループホーム、相談支援事業など約30の事業所を倉敷市内で運営しております。数多くの施設を展開できているのは、利用者さまとご家族のニーズに耳を傾け実現してきた職員の努力があったからだと思います。

これまでの実績を認められたことで、2009年には社会福祉法人の認可を受けました。また2014年には生活困窮者の相談事業、その翌年には地域活動支援センターⅠ型の委託を倉敷市から受け、市内の様々なネットワークの基幹的役割も担うようになりました。

めやす箱には入所施設がありません。そのため、利用者のほとんどが地元倉敷で生活しています。住み慣れた地域で自分らしく暮らしたい。そんなささやかで当たり前の希望を叶えるために、利用者支援と地域支援・貢献活動がシームレスに連携し、地域の中で孤立している方、困りごとを抱えている方への支援を行うことが私たちの使命と考えています。

具体的な活動として、

  • 職場体験学習やインターンシップ、実習生の受け入れ
  • ボランティアの受け入れ
  • 地域住民向け研修会の開催(自閉症について、成年後見制度について等)
  • 生活困窮者への支援(フードバンク、フードドライブによる食材や生活物資の提供)
  • 被災地復興支援のための募金活動・現地への職員派遣

等を行っています。

私たち法人の基本理念は「利用者主体のニーズの追求」「ナンバーワンの福祉サービスを目指す」「職員が働きやすい環境づくり」。この3つが目指す方向は同じで、それぞれが繋がり合っています。
利用者さまの要望を汲み取り、利用者さまの立場でサービスを考える。そのためには支援者の心の安定が不可欠であるという考え方です。
ナンバーワンの福祉サービスや働きやすさの定義は、教えられたり植え付けられたりするものではなく、一人ひとりが考えて実践していくことが大切です。
そういう意味においてはまだまだ発展途上の基本理念ですが、実現できる職員の育成こそが、選ばれる福祉サービスであり地域の一翼を担える法人だと信じています。

私たちが利用者さまとご家族を対象に実施している満足度調査には、多くの期待と要望が寄せられています。グループホームをはじめ不足しているサービスにおいては、未だに待機者の長い列が解消されておらず、今後の施設整備が急がれている状況です。この問題には福祉の担い手不足の現状と、地域の人口構造の変化による先の見えにくい福祉情勢が大きく絡んでいます。
これからの私たちの役割は、広角的な視野で地域の課題を的確に把握し、行政・他機関・他業種との重層的な支援システムを創り上げていくことだと考えています。一法人のシステムで自己完結するのではなく、利用者の視点に立った共生社会の実現するための第一歩を踏み出したいと思います。